この記事は写真膨大につき工事中。
Sさんの寄稿
写真と文は無関係。
写真はSさんのアルバム87–90より。
思いつくままに(食)
S H
早く着きすぎた「てんば」で寝るまでの時間をうっちゃるのに、持参したメリケン粉とキャベツで始めた「お好み焼き」。その後フライパンはテフロンにかわり、入れる具もそれぞれ吟味され、タレにも凝ってきたが、あの三の窓の「てんば」で食べた9年前のあの味には及ばない。
御在所山頂で風を避け、震えながら食べた「とん汁」、道連れに酒がすいすいと喉を通っていったあの時のあの味には、その後、会ってはいない。具とかタレに凝れば凝るほど美味になるが、目のうらがぼうーと温まるほどほどにはなってこない。
(87.8.13-16 大武川遡行 ~赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
そして休日にいそいそと通った定光寺のゲレンデ、それらには、それぞれの「わくわく」があった。
恋人に会う心境の食であり、岩であり、山登りであった。それがこの頃、だんだん切なくなるような、入れ込みを失っている。
なんとか、あの味を、あのこころのトキメキを、と思うのだが、なにか更なるものを求めれば、求めるほど、味がわからなくなってしまう。
もっと素朴に山をあるくか....(87.8.13-16 大武川遡行 ~赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
◯◯会ではいつの間にかこの私が常任のシェフの座を占めるようになったらしい。
テントの中でだれかが材料を前にして、おろおろ (他人がみんなそう見える) しているのを見ていると、ごくごく自然にその食当の手から私の手へと、材料がひとりでに移動してきてしまうのだ。
私が先に手を出した憶えは全くない、ひとりでに、ごく自然にだ。
オレのせいではない...
(87.8.13-16 大武川遡行 ~赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
うまい空気、がんばった汗、山の中....これほど条件がそろっているのに、もしそのときのメシは不味く、割り当てのビールには、ただ苦味しかなかった、としたら...
これはもう立派な犯罪行為だと確信をもって断言したい...
たったラーメン一袋の夕食、付属の調味料のサジ加減ひとつにも食当の腕が発揮される筈で、メンバーの全部の目が食当の手元に集中する。ときには、「今のちょっと多すぎるんじゃないの」とか「今日はよく汗かいたでー」とか「俺ならもうすこしこうする」といった意味あいの言葉がストーブの燃焼音につけ加えられる。ラーメン一袋の味加減にもそれぞれが一家言ある様子なのだ。このようにグルメである山の人たちの中での調理はTPOをよく心得ていないと失敗する。
山のメシは芸術だァ....
(87.8.13-16 大武川遡行 ~甲斐駒ケ岳 赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
ときどきグルメであってもとしても味の創造力のない仲間が、料理のできた頃あいを見計らって誰にも見せず隠しもってきたビールの一罐を...そっと差し出すことがある。さりげなく差し出しているつもりなのだが、目尻や鼻の先の空気がいつもと少しちがっている。ともあれ、これには全員の、時にはシェフ自体までもが思わず「あっ」と嬉びの声を上げてしまうくらい効果的な演出でもあるわけで、料理の手際、工夫、味への期待は一瞬にしてアルミ罐に移ってしまう。しかしだ、これも料理の味を引き立てるだけのものでしかない。主役はやはりオレだ、と臍を噛んでこらえているのです。
いつの頃からかはじまったこの悪習も、近ごろはややマンネリ化してきた感はあるが、けっして、決して、捨てたものではございません。何回でも「あっ」と叫んで手を打って提供者にお応えしたい、とシェフは心から思っているのです。
ボッカやトップだけが山ではないけれど....
(87.8.13-16 大武川遡行 ~甲斐駒ケ岳 赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
どんな悪条件下でのテンパリだったのか、何を、どうして喰ったかも、よく憶えていないけれど、とにかく目茶苦茶に美味しかったことがあり、山を下って安逸のなかにあってもそのあじがよき酒の肴なっていることがしばしばある。そして、そのあじの記憶を源流までさかのぼってみると、そこには仲間たちとわかちあった汗や、諸々のやりとりに行き着く。
どんな料理もさいごには「いい仲間」に浸さなければ味というものは引き出せない。
そのとき食は味となり、あるこおるは、酒になる...
ともあれ岳人は同時に食を楽(しむ)人でもなければならないと思う。........... 以上Sさん記
(文中、「9年前の三の窓」とあるので90年代初頭のエッセイと思われる。)
(87.8.13-16 大武川遡行 ~甲斐駒ケ岳 赤石沢 Aフランケ赤蜘蛛 白稜会~奥壁 中央稜)
(87.9.22-23 前穂高 北尾根 4峰正面 北条新村ルート、前穂東壁右岩稜)
以上のエッセイは驚異的に若いSさんとしてこのブログにもしばしば登場している岳兄Sさんのものだ。
今から30年以上前、彼が50代半ばの頃と思われる。
今から30年以上前、彼が50代半ばの頃と思われる。
文中に「9年前の三の窓」という語句が出てくるから、ひょっとしたらあの時かと私にも心当たりがあるだけのことだ。
そのSさんが緊急に入院したと連絡があったのは9月7日であった。
あんなに元気だったSさんが...
にわかには信じられなかった。
とりあえず旧知の仲間にも一応連絡をしておいた。
そのことにはメンバーの間でも衝撃が走ったようである。
(87.9.22-23 前穂高 北尾根 4峰正面 北条新村ルート、前穂東壁右岩稜)
落ち着いたところを見計らって9月14日に日進の病院にお見舞いに行った。
やはり、少し体の動きが不便そうである。
脊柱管狭窄で全身が痛いそうである。
そして生理機能の低下。
私もそんな経験があるのでよくわかる。
早い回復を願うしかない。
(87.9.22-23 前穂高 北尾根 4峰正面 北条新村ルート、前穂東壁右岩稜)
頭脳明晰、言語滑らかなSさんにとっても降って湧いた災難だったと思う。
しかし、さすがSさん、考え方を切り替えて自らの病気を自らコントロールして、それに沿った生活をしていくと断言された。
(穂高屏風岩下見)
乗り物は自転車を含めて一切乗らないことにしたそうだ。
行動範囲が限られてくるので不自由はされると思うが、何かがあってはいけないと思ったのだろう。
まだやることがある、物を整理して終活だ....
聞いていると切なくなるが、きっぱりと切り替えて生きようとするSさんの強靭な精神力に打たれる。 (北岳バットレス下部フランけから4尾根)
(木曽 滑川奥三の沢を目指して)
病院に来る時、借りっぱなしになっている山の分厚い4冊のアルバムから写真を何枚か持ってきてと言われた。
しかし、私が選ぶこともできず、その4冊を持って病院に行った。
そんなにたくさんいいよ、一冊だけ置いてって...ヨーロッパのやつはなんか自分の登山じゃないみたいで...というので、一番古いアルバムをおいて行くことにした。
家に帰っってからSさんにアルバムを適当にブログに載せるつもりですと連絡したら、
なんでもやってください、私の楽しみです...とハートマークまでつけて返事がきた。(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
そうしてSさんは後退した生理機能の管理法をマスターして二週間の入院で退院された。
(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
アルバムは私が山を離れてからの写真が主だが、岩壁に冬山にさらに厳しい登山に打ち込んでいて驚く。
懐かしい顔ぶれ...私が参加できなかった山々....私の心の中に嫉妬と悔恨が滲んでくる。
しかし過ぎ去った歳月は戻らない...
(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
写真に見入っていると彼らの会話まで聞こえてきそうだ。
辛辣な言葉が行き交い、それがが酒の肴になって夜が更けて....
せめて、私も彼らと一緒に行った気持ちで、この膨大な写真を眺めながら、楽しく歳月を振り返ってみよう。
(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
(89.1.1-4 八ヶ岳大同心南稜、中山尾根)
(89.2.14-15中央ア奥三の沢F1,F2)
(89.2.14-15中央ア奥三の沢F1,F2)
(89.2.14-15中央ア奥三の沢F1,F2)
(89.2.14-15中央ア奥三の沢F1,F2)
(89.5.15 濁河温泉より木曽御岳)
(89.5.15 濁河温泉より木曽御岳)
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
これはレアな記録だね!冬に錫杖沢を詰めるパーティを一度見た記憶があるが...
飛騨山岳会のホームゲレンデみたいなところだからね。
でも本峰を目指すのは大変だ!当時は我々ワカンも使っていなかったからねえ。
(P1-2コルのテンバ)
テントというよりゴアテックスのツェルトのようだね。
税理士先生、下戸だがタバコは嗜んでいた。今もそうかな....
税理士先生、下戸だがタバコは嗜んでいた。今もそうかな....
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
クリヤ谷の向こう側の西穂、奥穂の輝く山並みが美しい!入山日だろうか....
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
下降中のようだ。
3月下旬は新雪が無ければ雪は比較的安定している。
ここは上部に大きな雪田がないので雪崩は少ないのかもしれない。雪崩の見極めは難しい。地元の名古屋のパーティがここで 遭難したこともある。
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
(89.3.21-22 錫杖本峰 中央稜 P1-P2コルまで10時間の苦闘)
前衛壁手前の岩小屋だね。お疲れ様でした。
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
((89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.6.21-22 鏡平–弓折岳 大ノマ乗越より下降)
(89.5.3-5 北アルプス不帰1峰 第一尾根-唐松岳)
(89.8.3 越百山)
(89.8.3 越百山)
(89.8.3 越百山)
(89.12.13 八ヶ岳 ジョーゴ沢)
(89.12.13 八ヶ岳 ジョーゴ沢)
(89.9.9-10 唐沢岳 幕岩)
(89.9.9-10 唐沢岳 幕岩)
(89.9.9-10 唐沢岳 幕岩)
(89.9.9-10 唐沢岳 幕岩)
(89.9.9-10 唐沢岳 幕岩)
(89.11.22 木曽駒前岳まで 先週の4合目までにがっくりして単独)
(89.11.22 木曽駒前岳まで 先週の4合目までにがっくりして単独)
(89.11.22 木曽駒前岳まで 先週の4合目までにがっくりして単独)
(90.2 御在所岳 前尾根)
(90.4.25 笠ヶ岳 穴毛谷 4の沢 偵察山行)
(90.4.25 笠ヶ岳 穴毛谷 4の沢 偵察山行)
(90.4.25 笠ヶ岳 穴毛谷 4の沢 偵察山行)
この記事は工事中。
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