岳友Nはスキーに行ってから膝が痛むと言って来た。
それでも一緒に行こうと誘ってくれたのはとても嬉しかった。
しかし膝は生きている限り使わなくてはならない。
無理することはない。
大事に養生してほしい。
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ならばと1月に不調だった鎌ヶ岳の鎌尾根、発作的にもう一度歩いてみようと思い立った。
あれから雪は少なくなっているが北陸に大雪をもたらした余波でかなり積雪はあるはずと踏んでいた。
しかしその大雪をもたらした強烈な寒波も緩み前日の午後からは雨模様。
天気予報では今朝方までに雨は上がり天気は回復基調のようだったが、次の寒波がすぐやってくる気配である。
山に近付くと道路は夜の雨で濡れているが稜線は見えていている。
まあこれぐらいならいいかなあ...
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7:35入道岳
と、まあ訳のわからない状況の中で家を6時過ぎに出たのだが、果たして曇りがちの空の下で宮妻峡に接近した。
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この辺りも雨が降っていたせいで気温はそんなに低くない。
麓の柔らかい朝の光は希望の光に見えた。
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だが大気は厚い靄が覆っている。
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8:06 微妙な天気にも希望は捨てない。
通行止の鎖がロープのあるところは前回と同じところ。
車はこの時間オイラ1台。
少し厚着をしてサクサク出発した。
少し行くと崩落したノリ面を直しているところがある。
しかし車を通していない林道はいたるところに落石が転がっていて、管理の大変さが伝わってくる。
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キャンプ場の管理小屋...
温まってきたので少し薄着に調整。
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前回1月には8時半だったから今日は14分上回っている。
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8:24
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どこからで出て来たか白骨。
昔は春先によく沢筋でカモシカの死骸を見たなあ...
水を飲みにきて雪の深みに足を取られ身動きができなくなったかも...
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8:29 カズラ谷道の入り口
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林道に散乱する落石
こんなものが落ちて直撃されたらひとたまりもない...
運悪く当たる人もいるので要注意である。
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谷筋には雪の残るところもある。
清流になぜか心が洗われる気がした。
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安全祈願の祠
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9:00 不動の滝とくれば...
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その対面にあるトグロ松...
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雪の上に残る血痕と無数の動物の足跡
人の足跡はないのでここで何かが餌食となったのだろうか...
弱肉強食、諸行無常....
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雪が多くなった。
完全に道路を覆っている。
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雪を動物が掘り返した跡
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餌を求めてか...
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9:11 ここで朝食。持参のアンパン。
トレールはある。
やや氷化している。
スパッツをつけた。
まじまじ見るとフックの周囲が避けていたりこのスパッツも劣化が進んでいる。
昔に比べてそんなに使った覚えはないがそれでも6~7年は使っているか...
薄いペラペラの安物だし...
アイゼンはまだ着けない。
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意に反して空がだんだん暗くなってきた。
気温も下がって雪がちらついてくるではないか...
植林杉の薄暗い森の中で一人寂しくひと休みしているとなんとも侘しくなってきた。
意を決して前に進むことに...
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谷筋の歩きにくいトレールを辿り水沢峠下の滝へ着いた。
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10:39 先日の寒波の時にはかなり氷が発達したようだがここ数日の気温の上昇で日当たりの良いところは崩落したようだ。
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滝の下にはその氷塊が散乱している。
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10:40 ここで8本爪アイゼンをつけようとしたら、ナント靴に合ってない!
7年目のミレーの靴の防水が全く効かなくなったので、モンベルのゴアテックス靴を買ったのだがベタ足用の幅広サイズにしたので入らない。
なんと馬鹿な俺...
まあ、アイゼンがなくても行けそうである。先縦の足跡にもアイゼンをつけていないようだった。
気を取り直しストックをピッケルに持ち替えて進む。
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木立越しに滝の上部
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下からは見えづらいが...
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上部にもまとまった小さな氷瀑が残っていた。
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11:04 水沢峠の直下まで来た。
この辺りは風はないが峠の木立は激しく揺れている。
峠は風が強いところだ。
風を避けてここでしばし休憩して先をどうするか考えた。
県境稜線は風が強そうなのでハードシェルなるヤッケを着込む。
しかしゴアテックスではない。
防水のコーティングがしてあるようだが、そのコーティングが劣化して剥がれかけ始めている。ザックの中がコーティングの白い粉にまみれている。
こいつもダメになったか...
スパッツと同じく7年ぐらいの付き合いだが、そんなに使った感はない。
コシのあるハードシェルは確かに何かに覆われているような感覚はあった。
それでも寿命は致し方ない。
安物買いの銭失いなオレである。
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アイゼンが使えなくては鎌ヶ岳までは無理だろうな...
鎌ヶ岳に行けないなら峠から入道岳を目指そう...
が、足跡がないのでこれも諦めよう。
結局水沢岳の頂上まで行くことにした。
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時折雪がまとまって降ってくる。
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入道岳も雲に隠れたりまた姿を現したり...
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さては次の寒波がもうそこに来ているのか...
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峠から頂上の稜線をたどる。
一ヶ所、氷化したザレ場で少し緊張したがアイゼンなしで進むことができた。
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まあこれぐらいの天気はどうってことなかったはずだが...
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無理することはない。
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いっとき下界まで視界が広がったと思えばたちまち雲の襲来にかき消される。
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今朝のこんな天気で雪の粉がまぶされた。
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この辺りの気温はさすがに氷点下以下だ。
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12:02 水沢岳の頂上だ。
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北端まで行って見た。
ルートは右のここを下ってザレ場を下るのだが氷化していると緊張することもあった。
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その反対側にピンクのリボンがついている。
氷化したザレ場を避ける道なのだろうか..
進みたい誘惑に駆られたがアイゼンのこともあるし止めようっと...
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時折強風に煽られて地吹雪が舞い上がる。
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12:05 ま、アリバイ写真である。
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12:08 強風が吹きつのる、これもアリバイ写真。
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12:13 前回は氷瀑までだったが今日は幸運にも水沢岳の頂上が踏めた。
それにしても数年鎌尾根に通っていたが、昨シーズン休んだだけでこうも鎌尾根〜鎌ヶ岳が遠くなるとは思いもしなかった。
以前にも冬の水沢岳...あの時はもっと激しい吹雪だったが、鎌ヶ岳に進んで行くあっぱれな女子2人を見送って引き返したことを思い出した。
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長居は無用..
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12:40 水沢峠は風が激しく通り抜けて行く。
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峠から少し宮妻側に下ると嘘のように風がない。
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12:47 腰を下ろして冷え切ったオニギリを腹に詰め込んだ。
好物のとろろ昆布をまぶしてある。
アイゼンに次いでもう一つ間抜けな失敗が発覚..
ラーメンを作ろうとバーナーや鍋を取り出したのだが肝心のラーメンを忘れている!
もう豆腐の角に頭をぶつけて死にたい!
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13:13 雪は小ぶりになったりやや降りが激しくなったり、今日1日こんなものだろう。
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14:04 ヨタヨタと登山口に戻って来た。
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相変わらずチラついているが勢いはない。
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いろんな思いが去来して心にもいささか徒労感を覚える。
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14:12 トグロ松のところでひと降り...
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杉の枯葉に白い粉が降りかかりパターン模様ができた。
雪も上がり青空が少しづつ広がった。
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トボトボと車に向かう。
今日1日誰とも会うことがなかったのがせめてもの慰めと自分に言い聞かす。
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15:02 駐車場にはもう一台車が止まっていた。
この持ち主はまだ戻っていなかった。
風呂の用意をして来たがそんな気になれず家路についた。
帰路、横目で見た鈴鹿の稜線はまた雲がかかっていた。
睡魔に抗し難く大山田のPAでシートを倒して眠るともなく目を瞑る。
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もうすぐ家に着く。
ラーメンでも食べよう...
外は寒い。