(長らくこの記事は「上松道Bコース」と記してきましたが間違いでした。
あらためて「上松道Aコース」と訂正させていただきます。
コースについては上松町のHPをリンクさせていましたが現在そのHPは閉鎖されています。
登山コースは下記にリンク先を記載しましたのでご参照ください。2017.9.26)


山登りらしいこともせずもう8月中旬・・・
夏休み前にとりあえずと、中央アルプスの伊奈川ダムから南駒ヶ岳から越百山への日帰り周回を計画した。
4年前にやっていてあの時は余裕を残しつつ越百小屋に1泊させていただいた。
しかし今、1年で3年分ぐらい老け込む感じなので4年前と同じには歩けそうにもない・・・と不安が募り・・・
じゃ、と思いついたのが木曽駒ヶ岳上松道Aコースである。
しかしこのコースも相当である。

登山コースはこれを参照
http://www.kankou-komagane.com/alps/course8.php
http://morigasuki.net/archives/2475.html

上松Aコースが登り9km
それに標高差が1800m。
しかしヤマレコの方々の記録を見ると片道8km前後である。
ノリ面に沿った道のりか地図上の水平距離の違いか・・・
多少のことはいいか・・

とにかく日帰りで頂上往復に全く自信のないまま、おむすびを握り、前夜21時に家を出た。
すると階下の娘さんとバッタリ出くわした。
私のイデタチを見て、
あら、今から登山にお出かけですか?お気をつけて・・・
見られたくもない姿を見られてしまい、私は心の中で舌打ちしていた。
しかし彼女には何の罪も無い。
それどころか励ましてさえくれた・・・

往きは国道19号線、当然下道である。
道すがら夕立のせいか道が濡れていた。
ここのところ毎日のように夕立があり大気は不安定だ。
24時にアルプス山荘上の駐車場に着いた。
他には一台。
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空には星がまたたいている・・・
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マニュアルモード F1.8 シャッター速度20秒 ISO3200
ソニーRX100で撮ったがこのところマニュアルモードがおかしい。
中央部が異常に明るく四隅が暗い。
以前はこんなことはなかったのだが・・・

車中泊。
助手席側のシートを全部倒して凹凸をクッションで軽減しているので寝心地は悪くない。
チャッチャとビールを飲み干し横になって直ぐ寝落ち・・・
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ドンというドアの音で目覚めた。
隣には姫路ナンバーの車できたご夫婦が支度を始めている
時計を見たら4時50分だ。
いかん、寝すぎた!
もう辺りは充分明るくなっている。
4時に起きるつもりだったが・・・
慌てて支度をして出発。
朝飯は途中で食べることにしよう。
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出発5時10分
盛夏の日曜日というのに駐車場には3台、少し上に東屋がありそこには2台・・・
ロープウェイに客を奪われている格好・・・

ご夫婦はすぐ視界から消え・・・
熊と出くわさないことを念じつつ歩き出した。
滑川の奥の方にギザギザの稜線。
どこか特定できず。
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木曽駒にはちょうど45年前に登ろうとしたことがある。
当時参加していた登山サークルの木曽駒夜間登山という企画だった。
名古屋発中央線で木曽福島駅に下り立ち、夜の10時頃から歩き出すというもの。

そういえば、当時は上高地ヘ行くにも木曽福島駅からか薮原駅からだったか、立ったままのギュウギュウ詰めのバスで行ったことがある。
夜の境峠を越えるクネクネ道だから、車に酔いやすい私には本当に苦しかった。
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木曽駒夜間登山は9月中旬か下旬のころ、7、8人のパーティだった。
ゴルフ場の横をすり抜け登山道に入り・・・深夜2時を過ぎるとさすがに眠くなり登山道を踏み外すものも出てきたりする。
リーダーもこれではいけないと思ったのか少し睡眠休憩をとることになった。
薄っすら明るくなった頃再び歩き出し上に登って行ったが雨が降りだしてきた。
森林限界を抜ける頃だったか雨脚がひどくなり、いまの上松道AかBを下った記憶。多分Bだろう。
当時は全くこの辺りの知識もなくただついてきただけだったのだ。
土砂降りの中、果てしなく長い、奈落の底への終わりのないような下りを敗残兵のように歩く私たち・・
降りたところに山小屋があり、タクシーを呼んでもらって上松駅から列車に乗ったと思う。
折しも台風の接近で豪雨となり瑞浪駅で長いこと停車を余儀なくされて、つまらない話をしては同行の女子をシラケさせてしまったのも今となってはホロ苦く懐かしい思い出である。
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5:30敬神小屋
時間はカメラ時間
で、今日はあの時以来の木曽側からの木曽駒登山というわけである。
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敬神の滝なんて何処にあったのか?という私・・・
頂上まで7.5時間というのに萎える。
木曽福島の駅から歩いたとはいえ、昔の夜間登山でも相当歩いたのに頂上までたどり着かなかったのだ・・・トラウマである。
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まだ薄暗い樹林の中を歩く。
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気持良いが先のことが思いやられる。
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6時25分
半合毎に立派な標識がある。
私のような足の遅い人には励みになる。
先発した姫路のご夫婦の先を歩くことになった。
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キノコ
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この時間、もう上から降りてくる方がいる。
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7時40分
5合目
登り始めてから丁度150分
ほぼコースタイム通りだ。
ある方は自分の限界をコースタイムとおっしゃる。
言い得て妙だ。
若い頃はコースタイムのナナガケで登るのが常識だった。
今、コースタイムの前後で呻吟している私には、限界はコースタイムという言葉は重い。
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5合目の金懸小屋。無料の避難小屋で寝具も用意されている。
覗いたら中で降りてきた方が食事していた。
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金懸小屋から見た御岳。
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小屋のたたずまい。
私も大休止としよう。
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そのうち姫路のご夫婦も上がってきた。
ここまででも数人しか出合っていない。
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5合目を出ると金懸水という水場がある。
冷たくて美味しい。
私は例によって名古屋の水道水を持参してきている。
ついでに、今日の装備は
合羽(古いね・・今はレインウェアというのかな・・)
ヘッドランプ、熊鈴、タオル、ティシュ
スポーツドリンク0.5l、お茶0.75l、水道水1.5l
おむすび5個(米1合半)、ゼリー、ミディトマト4個、普通トマト1個、キュウリ1本

まあナンチャってトレーニング。
ちなみにキュウリは5合目で丸かじり、旨かった!

そうそう、それに今日は新兵器ハイドレーション!
こんなものいらん!と思っていたがついに・・・
歩きながら水分補給できて、使ってみると便利だわ!
私のように体力無い人には絶対お勧めだ。

コースは尾根筋に取られていて急な登りとマッタリしたところが交互に出て来る。
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5合目を過ぎると胸突き八丁
ここもそんなに長くはない。
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こぶのようなピークから少し下ったところ。
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8時52分
6合目
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三の沢岳
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キノコ
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乗鞍岳
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遠見場 9時47分
もう4時間以上も登っているが・・
頂上までたどり着けるか心配になってきた。
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9時51分
ここの標識の所用時間は私のペースとほぼ同じだ。
とすると頂上は13時前後か・・・
バテたら撤退と思っていたがもう相当バテテいる・・
とにかく上に向いて歩こう・・坂本九の歌のように・・
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三の沢岳
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お、何て言う岩なんだろう?
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こちらは麦草岳方面
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ガスが湧いてきておきまりの夏山風景。
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10時43分
ようやく・・・やっと・・・
身体はイヤイヤ、気持は・・・
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疲れすぎてなんだか感動がない。
木曽駒から宝剣につらなる西面ってなんだか平板に見える。
興味深い沢筋も多いのに一度も足を踏み入れたことがない私がいうのも失礼な話だが・・
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木曽前岳を見て萎える・・
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こんな石の塊を持ち上げる人に座布団100枚!
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で、前岳はパスして大ナギ玉の窪方面へのトラーバース道を選ぶ。
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もう限界を超えているようで、両足が痙攣。
大休止をして水分や食糧をしっかり補給した。
こうなったら慌てることはない、と開き直り・・
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いい眺めだなあと三の沢岳にうっとり・・・
ここのところこの地方でも午後の雷雨が毎日のように発生しているが・・
今日だけはご勘弁を・・
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大ナギといわれるところか・・
ちょうどガスがかかって陰惨な雰囲気。
こりゃ危ないわ。落石を受けたらイチコロだ。
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ガスが通り過ぎるたびにグッと涼しくなる。
大ナギに向かって向こうから一人下ってきた。
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大ナギを越えると眼前には・・
左から丸い木曽駒、中岳、宝剣岳!
でもやっぱり平板・・
ピーク間の切れ込みの標高差が小さいのでそう見えるのかな・・・
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剣や穂高を愛したように、宝剣の西面にも足を運べばよかったなぁ・・とチョッピリ後悔。
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でもこの丸い巨大なドームの木曽駒は好きだ!
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ガスが多くなってきた。
ガスに包まれる三の沢岳がカッコイイ!
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トラバース道を振り返る。
前岳経由の方が楽だったかなぁ・・・
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木曽駒ヶ岳
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コルの上にある烏帽子岩は信仰の対象だ。
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12時
9合目玉の窪
2736.7m
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玉の窪小屋・・
ひっそりとしている。
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ここまで来たら行くしかない。
あと高差200mちょっと!
リュックを置いて水とカメラをウエストバックに詰め込んで登りだした。
烏帽子岩は信仰の対象だ。
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頂上小屋が見えた
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12時34分
着いた!
登り出しからほぼ7時間半!
長かった!
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ほとんどの人はロープウェイ〜千畳敷からの登山者だろう。
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木曽側からの頂上は初めてなので嬉しいが・・
今の私には長すぎる。
明日の仕事が休めるなら、迷わず頂上小屋か玉の窪小屋で一泊したいが・・・
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ロープウェイで登ろうが何で登っても頂上はいいもんだよね。
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いい青春してるじゃないか!
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頂上はそれなりの感動を与えてくれるものだ。
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2956m
もうほとんど3000mである。
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上松道から宝剣へ行くのは定番コースのようだが私にはとてもとても・・・
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伊那前岳方面だったかな・・
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12時45分
名残惜しいが下るとするか・・・
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賑やかな頂上を後にすると一転静寂というか寂寞さが漂う・・・
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13時5分
疲れたので大休止。
玉の窪では小屋の方が屋根のペンキを塗っていた。
バテバテで登っていうのもなんだが
木曾谷からの道にも登る人が増えるといい・・・
百名山ブームだが目指すなら深田久弥先生が辿られた道を追うというのはどうだろう。
ま、百名山にはの関心無い私の出る幕ではないか・・・

こんどはこんな小屋にも泊まって頂上で御来迎を拝みたい。
小屋を無くしてはいけない・・・
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13時25分
前岳(2826m)を踏んで帰ろう。
しかし前岳への登り返しでもうバテバテ・・・
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木曽駒よ今日もありがとう!
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這い松のなかに巨石が散在する前岳は独特の雰囲気がある。
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13時38分
ピークも一ヶ所ではない。
這い松も樹高はそんなになく踏み跡を辿ったり、時には岩を跨いで進んだ。
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前岳も踏めて良かった。
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13時57分
麦草岳の大崩壊地
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雲が少しずつ多くなってきた。
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今日も夕立はやって来るのだろうか・・・
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八合目では靴を脱いで、中に入った石ころやゴミを出した。
半ズボンはこれだからなあ・・
下りの尾根筋にも雲が這い上がってきた。
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14時39分
スパートをかけたいが膝がアカン!
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15時27分
金懸水!
冷たくて旨い!
もうすぐ5合目
5合目で最後のおにぎりを食べた。
疲れすぎて食欲は無かったが残すのは気が引ける。
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4合目を過ぎたら一人の青年が・・・
日本語を喋れないというフランス人!
英語は流暢だった。
こちとら、外国語を喋ろうとすると韓国語にスイッチが入ってしまう・・・
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フランスにはモンブランがあるじゃないか、何でここまでワザワザ・・・と英語で言ったつもり・・・
すると彼は、ええ、モンブランはいい山です。
でもまだ行ったことはありません・・・
と応えたような・・・
彼は中央アルプスの地図を拡げて、今日は金懸小屋に泊まって、越百山まで5日かけて縦走するという。
グッドラック!
とお決まりの言葉で別れた。
彼のリュックは、見ての通り薄いポケットも何も無いシンプルすぎるデザインのもので、おおよそ登山用のものではない感じだが・・・
モンベルのロゴが入っていた。
ウウム・・・フランス人のセンスとは・・・
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17時ちょうど。
やれやれ、膝もとっくに限界を越えた。
振り向いたら一人の青年が降りてきた。
今朝5合目で私を追い抜いた方だ
抜き去った憶えは無いのに何処で入れ替わったのか・・・
そういえば姫路のご夫婦ともアレから出合っていない・・
この青年はここまで自転車で来ていた。
ところが、30分先の下の駐車場で彼は自転車を分解して車に積み込んでいるではないか!
私はてっきり家から自転車で来たと思っていたが・・・
みよし市の方である。

17時30分
膝の痛みに耐えながら駐車場着。
姫路のご夫婦の車もある!
今日は上でお泊まりだろう。
登りの5合目で別れたきりだったが・・・
8合目と9合目の間の前岳と巻き道で入れ替わったのかなぁ・・

今日、上松A道で出合った人は15人前後。
百名山とは思えない静かな山行だった・・

日帰りの12時間超の行動は私にはオーバーワーク過ぎた。
明日からは筋肉痛が待っている。
山をサボっていた代償だ。
中津川インターから高速に乗って守山PAでかき揚げそばを食べたが、疲れすぎてかあまり美味しくなかった。