なかなか山に行けないでいた。
岳友に週末の山行きを問い合わせたらこころよくOKしてくれた。
本当は氷を登りに行きたかったのだが、ここ数日の高温と雨のせいで、御在所の氷の季節も終わってしまったものと諦めていたら・・
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最後のチャンス、ダメもとで、もう一回氷を登りに行こうという岳友の提案に反対する理由はなかった。
彼も前回一人で下部を登っただけで心に引っかかるものがあったのかも知れない。
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というわけで、最近流行りの?山頂から取り付くというヨーロピアンスタイル・・・
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今朝はすごく寒い。ロープウェイ駅にはダイヤモンドダストのような雪が、冷たくて強い風にキラキラと煌めきながら舞っていた。
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これなら氷を期待できるかも知れない・・・
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ゴンドラが強風にあおられ揺れる、揺れる。
こりゃ酔うなあと心配してたら山頂到着。
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氷の武器は二昔以上も前のもの。
岳友はバナナピックのハシリのシモンシャッカル。
私はその前のシモンのピッケル。氷壁のスペシャリストとしてダブルアックス初期、一時代を画したワルターセキネルがアドバイザーとして参加して作られたものだ。
バナナピックのような角度は無いが薄くて氷を割らずに突き刺さるように考案されたもの。 岳友のKに返す機会を失ったまま、まだ持ち続けているタチの悪い俺。
K君ごめんなさい。
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そして我々二人の共通武器はアイスバイル、梶田のハーフパイプ。
これは固い雪や硬軟の氷に実に良く効く。
従来のツルハシ型に変わって、パイプ状のピッケルが登場した時は一同唖然としたものだが、使ってみるとその効き具合に二度ビックリ。
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メイドインジャパンの梶田のアイスバイルは半円状のパイプに改良し当時絶賛を博したものである。
その梶田も創業者梶田民雄氏の高齢を理由に廃業しようとしたらしい。
それを聞いたモンベルの辰野勇氏はその職人魂を惜しみ、消してはならないとモンベルの傘下に収めたということだ。
梶田製作所は地元春日井市に本拠があったはず・・
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この梶田のアイスバイルにはバナナピックの替え刃が付いているがもっぱらハーフパイプのみを使ってきた。
パイプ型の時代は長くは続かず、今は大きくカーブしたシャフトにバナナピックが付いている氷壁に特化したものが主流のようだ。
パイプ型は効きすぎて抜くのに一苦労するからだろうか・・・
まあ、山歩きだけををする人にはあんまり縁のない話だ。
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我々も今から氷壁登攀に投資しようという気力はさらさら無い。
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ご覧の通り雪がずいぶん少なくなった。
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雪の多い時には氷の滝もかなり埋まってしまうこともあるのだが・・
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今回は雪が減ったぶん、却って氷瀑部分が沢山露出しているように思える。
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取り付きでの岳友。
彼のハーネスはアイゼンを外さないと足が入らない。
冷たい風に叩かれてしばし素手で大奮闘。
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岳友とザイルを組むのも何十年ぶりだ。
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そろそろこの北谷にも陽が当たり出す季節になった。
これからはドンドン雪解けが進み4月になればほとんど雪は消えていることだろう。
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この氷の具合にニンマリ。
昔はこの易しい氷瀑を愛していたものだが・・
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*印岳友提供写真
岳友に頼んでトップを登らせてもらうことにした。
ところが久しぶりすぎてオッかなビックリ・・・
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ブッシュまで掴んで何でもあり・・・
アイゼンを蹴り込んで立つとふくらはぎが痛い。
おまけにアイスハーケンを打ち損ねて落としてしまったので余計あせってしまった。
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私が必死に登ったところを相棒は難なくクリアして来る。
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昔は俺もそんな感じで登ったはずと自分に言い訳しているが・・・
トップ交代。
アイスハーケンを打ち込む岳友。
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やはり雪が少なくなって氷瀑部分が大きく露出しているようだ。
岳友は水がしたたっているつらら部分を避けて右側にルートをとった。
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彼は右手に梶田、左手にシャッカル。
梶田はほとんど一発で決まる。
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彼は実に気持ち良さそうだが、私はまだぎこちない。
蹴り込んだアイゼンを信頼しきれないので立ちこみが無様。
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ザイルで確保されて登るっていいねぇ。
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ようやく勘がつかめた、と思ったところで終了
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シュリンゲも岳友のように長いテープをもっと準備し、使えないものは整理しないと・・・
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岳友の思いやり。
熱いコーヒーをいただく。
美味い!
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前壁の氷もずいぶん薄くなってしまった。
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今日ここにはわれわれ2人の足跡だけが・・・
足腰がもろくなっている我々、チョットのことでたわいもなく崩れるようにコケてしまう。
岳友が登山道に戻る途中転倒して頭を石にぶつけたが幸いヘルメットを被っていたおかげで事なきをえた。
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中又はまだ行けそうではある。
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御在所では関所となった日向小屋に上がり込んで癒しのビールタイム。
暗くなりかけた頃、おいとました。

久しぶりにザイルを組んでくれた岳友に感謝。
こんな日が再び私の身の上に訪れようとは・・・

岳友には今年孫が生まれるそうだ。
新しい命を授かって気持ちに張りが出来ていることだろう。
これから先も戦争に縁のない平和な国であれと願わずにはいられない。

ところで下界では花粉症に苦しんでいる私だが、気がついたら山中ではそんな症状は治まっていた。

岳友とアプローチで話題になった一曲、アコースティックギターがかっこいいミセスロビンソン