*印 山友さん提供写真 ソウル駅
さて今回の本命の山がある南部に移動。しかし梅雨前線が張り付いている最悪の状況だ。
悩んだ末、第二候補、光州無等山を窺うことにした。奥地に入ること無く天気がよければサッと登山し、悪ければすっと引き上げることが出来そうだと思ったからである。
宿主の女主人にしばしの別れを告げソウル駅へ。
ところが、光州行きは龍山駅から乗れということ。
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* カルビタンで朝食 龍山駅
日本だったら東京行きの新幹線切符は名古屋駅じゃなくても買えるが、ソウル駅では売ってくれないのである。
仕方なく龍山駅に移動して10時20分発のKTX切符を買った。3万7千Wだから日本円で3千6百円ぐらい。安いと言えば安い。3時間列車の旅である。
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韓国の国鉄では数年前、日本の新幹線にあたるKTXが開通してから、駅に改札が無くなった。
乗車しても一度もチケットの確認を行わない。
車掌さんが回っては来るのだが、入り口と出口で恭しくお辞儀をして通過するだけである。何か聞きたいことがあれば親切に教えてくれるのだろうが・・・
キセルなど、大丈夫だろうかと人ごとながら心配になる。
そして韓国のKTX、初期型の座席は車両の真ん中を境にして全部と後部が向き合うように作られている。
つまり、車両の前半分は進行方向とは反対向きで座り、後半分は進行方向に向かって座る。
私たちの席は反対方向に座る座席にあたり。車両に酔いやすい私は苦手である。
空いている席があれば勝手に変わってもいいのだが結構満員なのだ。ギリギリに切符を買うとこうなるのか・・・
KTX内、wifiは1時間は無料で使用可。ケチだね。
とか何とか無事光州到着した。

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光州は雨が降っていない。
とりあえず観光案内所でパンフレットを手に取りながら一読する。
80年の光州民主化闘争で沢山の市民が軍の無差別射撃で犠牲になった。
長い間、光州暴動と呼ばれ不当な扱いを受けてきたが、当時この事件の首謀者と言われ死刑判決まで受けた金大中氏が97年に大統領選に当選するや、歴史の見直しが始まり、今では軍政に抵抗して民主主義を勝ち取るため立ち上がった貴重な犠牲として死者の名誉が回復された。
当時、学生や市民が立てこもって最後まで抵抗した全羅南道の道庁などが保存されるなど、民主主義の聖地として市全体が当時のたたかいの記憶を刻み付けようと、いろんな散策探訪コースを説明付きで紹介していた。
数年前、この事件の犠牲者が眠る墓地を尋ねたことがあったが、今回の目的はあくまで登山だ。
山友さんが観光案内所で聞いたら、無等山登山口の證心寺近くの韓国伝統文化会館で午後3時から伝統舞踊などの催しがあるから行こうというので、登山の下見を兼ねてバスで行くことにした。観光案内所の人は駅前のバス停を教えてくれ、49番のバスに乗って下さいとのこと。
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ところがバスの運転手はこの建物を知らず、この辺じゃないかと、随分手前のところで下ろされてしまった。
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仕方なく歩くことしばし。
道路脇にこんな立派な建物があるやないか。
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手作りの餅を販売。空腹の私たちは早速買い求めた。
200円くらい。
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登山口にも近いようで登山の身なりをした人たちが行き交う。空はどんよりして蒸し暑いが雨は降っていない。
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催しは建物の中で行われていて無料。伝統文化館 土曜常設公演 「土曜日は楽しい」と読める。そんなに広いところではないが大広間に照明や音響などを備えている。観客も一杯だ。全羅道はまた芸どころでもあるようだ。
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韓国伝統文化会館の川を挟んだ対岸の山。緑が奇麗だ。
こうやって時間をつぶしながら、市内に戻った。市の中心部、地下鉄錦南路4街駅で下車して宿を捜したが中々見つからない。
一時山友さんと険悪になったが、路地裏に何とか一軒のモーテルを発見、一部屋35000W。
ソウルあたりの部屋に比べたら安く奇麗だ。
しかし以前に泊まったところはインターネットパソコンがあったがここには無かった。大型のTVはいまや当たり前のようだが・・・
正直、昨日までのソウルは雑魚寝状態で、まあ、そんなものだったが、今日からは一人一部屋。のびのびである。
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民主化の聖地、光州は芸術の町でもある。光州ビエンナーレの開催都市として有名だ。民主化の歴史にゆかりの町は芸術とコラボして町起こしの機運がうかがえる。
夕飯前のひととき市内を散策。
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     * 町のあちこちにオブジェが
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食事は宿の近くの若者ばかりの繁華街で焼き肉。ソウルで食べた豚の首肉があまりに美味しかったのでここでも。
小じゃれた店だったが若いカップルが多い。土地柄だろうか。
隣のカップルは三枚肉をさらに追加注文して、バリバリ平らげていた。
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私たちは河岸をかえて地味系な店をちょいと冷やかし。
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つまみはドングリ豆腐のムックとマッコルリ。私と同年代の客で一杯。こちらが落ち着くわ。
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壁にはこんな色紙ならぬ色紙。
「これこれ、友よ、世間なんてそんなものさ
 お茶の一杯でも 飲んでいきなよ」
粋だねえ・・

宿に戻り、旅の疲れか早々にベッドで横になる。
明日の天気は正直言って期待薄だ。
夜半、雨が激しく地面を叩き付ける音が五階の部屋にまで届いた。

(5へ続く)